研究課題
この研究計画の初年度から着手していたマルチエージェント・シミュレータを用いたシミュレーション分析の論文が、学会誌『研究 技術 計画』に掲載され、企業内でのコミュニケーション競争モデルに関する研究が研究実績の形で発表できた。さらに、昨年度から引き続き、ビジネスモデルの進化についての調査研究も行ったが、特許等の知的財産権の取り扱いや評価については、ライセンス・ビジネス(あるいはライセンシング・ビジネスとも呼ばれる)の観点から行うことが、もっとも妥当であるという結論に達した。著書『<育てる経営>の戦略』では、その中の数章をさいて、リソース・ベースの戦略論の議論と知的財産権の議論を結びつけ、さらに青色LED訴訟をケースとして、ライセンス・ビジネスの実際と実情を論じることにあてている。また、こうした一連の研究テーマは、評価や人的資源の問題とも密接に関係しており、ほぼ同時並行的に成果主義批判や人材育成システムに関する論文等の形で発表してきた。代表的な論考としては『ジュリスト』に発表した「視点 虚妄の成果主義」や『Think!』に発表した「人はなぜ働くのか」があるが、その他にも、平成16年度には、多数の研究成果を発表している。成果主義に代表されるようなビジネスモデルは、結局のところ、評価に傾斜するあまり、経営資源、特に人的資源の育成の点で機能不全を起こし、その結果として、やがては淘汰されるというのが結論であるが、これはもともと生態学的シミュレーションに裏打ちされた知見を人的資源の問題に応用したものであり、その意味では、この研究計画の研究成果が、隣接分野で開花したものだと位置づけられる。
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赤門マネジメント・レビュー Vol.3,No.1
ページ: 9-40
An Introductory Bibliography for Japanese Studies Vol.14,Part1
ページ: 115-132
研究 技術 計画 Vol.19,No.3/4
ページ: 214-225
ジュリスト No.1270
ページ: 2-5
日本経済の論点
ページ: 137-150
Think! No.10
ページ: 58-64