研究課題/領域番号 |
13630142
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
大谷 眞忠 大分大学, 経済学部, 教授 (60040789)
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研究分担者 |
石井 まこと 大分大学, 経済学部, 助教授 (60280666)
阿部 誠 大分大学, 経済学部, 教授 (80159441)
幸 光善 大分大学, 経済学部, 教授 (40136776)
本谷 るり 大分大学, 経済学部, 助教授 (40315312)
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キーワード | 雇用=人事管理 / 中小企業 / 雇用ミスマッチ / 家族主義的管理 / 近代化 / 若年者 / 雇用安定機能 |
研究概要 |
本年度は、地域中小企業の雇用=人事システムについて、既存資料の収集=整理を行い、その結果をもとに、企業、経営者団体へのヒアリングを行った。加えて、国際比較の観点から外国でのヒアリング調査も行った。ヒアリング調査を通じて、地域中小企業が抱える雇用=人事システム上の課題が(1)従業員の高齢化対策、(2)従業員の能力開発、(3)能力=業績重視賃金が重要課題であるという点が明らかになった。中小企業の人事は大企業にみられるような人員削減傾向ではなく、人材の有効活用に力点が置かれている。今回のヒアリング調査でも厳しい不況期にもかかわらず、同様の傾向=人材の不足感がみられ、中小企業には雇用のミスマッチが発生していることが分かった。こうしたなかで、経験をもう高年者の就業延長も行われている。ただし、中長期的な観点から若年者の採用を企業は望んでいるが、若年者の就業先としての選択に中小企業が入りにくい間題点を抱えている。その背景には経営者に依存する雇用=人事管理における家族主義的管理が一つの要因であるが、こうした点は中小企業が雇用=人事に配分する資源が限られているために起きている。これに対し、地域のコンサルティング会社が地域企業と連携してOff-JTプログラムをコーディネイトし、人材育成を行う試みの事例があった。中小企業の基盤強化を人材サービス業の挺子入れで雇用=人事管理の近代化が進められていることを示しており、発展次第では中小企業経営の一つの画期になると考えられる。国際比較の観点から行った外国調査では日系企業が多く進出しているタイ王国の製造業中小企業の成長を考察したが、製造業大企業からのスピンアウト組が少なく、日本の発展段階と大きく異なっており、雇用安定機能は大企業に依存しているといえる。
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