研究課題/領域番号 |
13630142
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
大谷 眞忠 大分大学, 経済学部, 教授 (60040789)
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研究分担者 |
石井 まこと 大分大学, 大学院・福祉社会科学研究科, 助教授 (60280666)
阿部 誠 大分大学, 経済学部, 教授 (80159441)
幸 光善 大分大学, 経済学部, 教授 (40136776)
本谷 るり 大分大学, 経済学部, 助教授 (40315312)
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キーワード | 人事管理 / 中小企業 / 人事評価 / 高齢化 / 業績主義 / 能力開発 |
研究概要 |
本年度は地域における中小企業の雇用・人事システムの特徴と課題を把握するため、既存資料の収集・情報交換および昨年度のヒアリング調査をもとに地域企業へのアンケート調査を行った。アンケートは大分市内に本社をおき従業員規模10名以上の地域企業1409社に対して行い、うち397社からの有効回答をえた。回収率は28.2%であった。調査では地域企業の人事評価制度、採用・教育、賃金、人事管理上の課題について質問を行い、地域企業の人的資源管理の現状を調べた。まず、人事評価制度の実施では正社員規模に比例して実施企業が増加する傾向がみられ、地域企業では定期的な人事評価制度の実施は少ないものの、不定期な人事評価はかなり行われている。また、地域企業における人事評価制度の過去5年における変化は、処遇格差の拡大や業績・成果ウエイトの上昇という傾向がみられ、業績主義化の方向がみられるが、改革は行わない企業も評価制度をもつ企業の4分の1を占め、方向性は一様ではない。採用では過去3年増加傾向にあったが、今後社員を採用しない企業が増加し、雇用吸収力の低下がみられる。また、採用計画未定の企業が多く、経済の先行き不透明感は地域企業においても採用意欲を鈍らしている。これは正規だけでなく非正規雇用でも同様である。一方で、定年制の延長など高年者の活用が積極的に行われ、新規採用を控えるなかで高齢者=経験者の活用が進んでいる。能力開発では必要に応じて行う企業が多く、組織的・計画的な実施は少ない。賃金では人事評価と連動し、現在の職務遂行能力から仕事の業績ウエイトを上げる傾向がみられる。人事管理の課題では採用抑制を反映して、高齢化問題や従業員の能力開発といった既存の人的資源をいかに活用するかといった課題が重視されていく傾向にある。最終年度ではこれら4項目の相互の関連性について明らかにしていく。
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