平成13年度の研究を受け、国際レフェリー・ジャーナル等に投稿する準備をした。具体的には、オンラインデータベースで外国語文献をくまなく検索し、外国語論文を入手し、レヴューをした。このプロセスでは、本研究に直接関連する組織文化・企業倫理というテーマから始め、のちに日本という文脈に特定して行った。100以上の文献を読みこなすことで、直接必要な文献とそうでない文献に整理した。さらに、この文献調査をアジア全体に広げることで、文献地図というものを作り上げた。その結果、日本企業で起こる文化的病理構造は、日本を越えた東アジア全体に蔓延していることが判明した。具体的には、漢字的識字から派生する思考能力・知力の歪んだ正統性ならびに、それを土台にして出来上がった教育制度自体が問題視されなければならないことが判明した。さらに、儒教と科挙制度がアジア全体に歴史を超えて蔓延する呪術として支配しており、当時者の倫理的判断を麻痺させることを発見した。また、国内外の複数の知人・権威と議論することで、企業倫理の問題点は、democracyが正常に機能していない社会システムで顕著になるという政治システムの問題であることも判明した。こうしたことを原稿にまとめ推敲した。その結果が、レヴュー論文として集大成し、平成15年初夏に公刊されるHandbook of Asian Managementの一章として掲載されることとなった。
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