日本企業を倫理荒廃させる組織の潜在的メカニズムを探求し、理論化し、実証研究した。この研究の思想的・理論的背景には、現象学・Habermasのdiscourse ethics理論・ポストモダニズムがあり、これらのメタ理論を用いることで、従来の組織研究では扱えない側面にライトを当てることが可能になった。理論の抽象度として、通文化的一般理論の構築までにいたった。さらに理論の現実性を出すために、一般理論を構成する抽象概念が現場でどのように文脈化するかも検討した。成果としてJournal of Management Studiesの2002年39巻3号とJournal of Business Ethicsの2002年38巻3号に論文を掲載した。 次に、不祥事の潜在性を分解する経営改革の方法論を導入し、倫理を組織文化に根づかせる可能性についても検討した。理論的枠組みとしてドイツ語圏・フランス語圏社会理論で議論されたreflexivity(内省性)を発生させつつ、倫理観を組織文化に注入する試みについても考察した。成果として、国外では、Asia and Europe in New Global Systemの一章として、論文を掲載した。さらに、「組織科学」の2004年37巻4号へも論文が掲載される。
|