研究概要 |
平成15年度科学研究費・基盤研究(C)(2)「企業の持続的競争優位性の構築とその管理に関する研究(研究代表者:岩崎尚人,研究分担者:神田良・明治学院大学経済学部)」では,前年度までに行われた文献研究,理論サーベイ,国内企業に対する実態調査とアンケート調査を統一的な枠組みに位置づけ、その成果をまとめる活動が中心となった。 日本国内における長期存続企業に関する実態調査は、長期存続企業におけるマネジメントの特質や、競争優位性の構築とそれを管理する方策について、事例レベルで確認することを目的と継続して行われた。調査対象となったのは、関西および中部地方に所在する企業であるが、前年度の調査で興味深い示唆が得られた企業については、再度実態調査が行われた。そこでは、経営トップ層を中心としたインタビュー調査に加えて、製造現場のみならず管理職層の従業員との意見交換を行っている。なお、実態調査によって確認された事項については、その都度研究プロジェクト内での討議を行い、成果の一部を事例研究としてまとめている。 アンケート調査は二次的な分析段階での作業が進められた。調査結果については、単純集計レベルでの検討にも充分な時間をかけ、研究メンバー以外からの意見も取り入れることにより、新たな視点からの検討が行われた。その課程では、長期存続企業のマネジメントを研究する上での枠組みについての議論も行われ、競争優位性の構築に至るプロセスの確認、および長期存続企業の競争優位性の管理のあり方についての試論が、長期存続企業のマネジメントに関するエッセンスの抽出というかたちでまとめられている。
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