循環型資源利用を促進する企業間関係が、従来の投入-産出関係だけでなく、政府、地域社会、非営利組織や非政府組織との複合的な関係に基づいて形成されることが本研究により明らかにされた。 1.循環型資源利用は、循環型社会の中核的な課題である。循環型社会の行動責任主体は、企業だけでなく政府、消費者、そして地域社会などへと拡大しているのである。この結果、循環型資源利用を促進する企業間関係は、循環型社会の各責任主体間に形成される複合的な連携のなかに位置付けられる。たとえば、企業間関係が市民ネットワークや地域社会との連携によって、循環型資源利用の高度化(高い組織的合理性)を達成していることが確認された。 2.同産業、同規模の企業間関係による環境保全対応からの脱却が模索される必要がある。つまり、循環型資源利用を促進する企業間関係は、これまでのリサイクルセンターといった業務的な連携にとどまらす、循環型資源利用のための共同研究開発という視点が今後重視される。したがって、企業間関係は異なる産業分野、規模の企業の間に形成されることが必要である。 3.市場を競争という一元的な視点からだけでなく、活動、資源そして主体のリレーションシップの束として理解することが必要である。つまり、市場に形成される環境保全ネットワークが循環型資源利用を促進するのである。 4.今後の研究展開としては、循環型資源利用を促進する企業間ネットワークの形成と環境保全ネットワークを基盤とする新たな環境経営について精緻化することが期待される。
|