本年度は、「循環型資源利用と環境コミュニケーション」の経営学的研究を行った。研究の目的は、環境コミュニケーションの理論的な基礎研究に重点がおかれた。具体的な成果は、次のとおりである。 1.地球環境問題の解決は、循環型資源利用という視点からみると、企業と他企業、その他組織(NPO、NGOなど)との相互連携を不可欠としているのである。 2.循環型資源利用を促進する企業間関係では、循環型資源連鎖に基づく企業間関係が中心となっていた。しかし、この循環型資源連鎖は、今や、NPO、NGOなどの多様な環境主体をふくむ広域化の傾向を強めているのである。 3.多様な環境主体との環境連携は、何よりも環境主体間の相互理解が不可欠である。このような視点から提案されているのが、環境コミュニケーションである。 4.環境コミュニケーションの目的は、環境ネットワークという階層的な性格ではなく、相互の主体性を尊重する理念に基づく連帯に近いものと考えられるのである。しかし、単なる連帯ではなく、機能的で活動的なネットワークという性格をもつ環境ネットワークでは、より明示的なコミュニケーションが求められるのである。ここでは、このような意味で、環境報告書の役割を検討し、今後の課題と将来的な意義を明らかにした。
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