研究概要 |
これからの生産システムは,国家の中央集権体制から離脱して特定の地域で地域分権的に発展することが肝要で,これが全産業部門参加体制による自立型の社会的生産システム・産業ネットワークである。その典型例として,第一次産業の農業・第二次産業の製造業・第三次産業の商業から構成される仕組みを考えた。それぞれが自立・自律的に最適の生産体制を構築しながら,これら異質の分野が相互関連的に共同して相乗効果を挙げ、地域社会に貢献することが希求される。原料・エネルギなどの投入物もできるだけ各地域で確保し,生産・消費も主にその地域に必要なものに限る方式が究極的な課題であり,これが「適地適性生産」のあり方といえる。本研究では,これら3つの分野の活動を次のように設定した。(1)農作システム:供給業者から肥料を購入し,農業生産として苺を産出・収穫する。その一部は製造システムに原料として出荷し,残部は流通システムへ回されて最終消費者に販売される。(2)製造システム:農作システムから苺を,供給業者からガラス瓶を購入して,瓶詰め苺ジャムを製造し,それが流通システムへ出荷されて最終消費者に販売される。(3)流通システム:農作システムから農作物-苺,製造システムから食料品-瓶詰め苺ジャムを購入し,流通機構を経て,両商品を最終消費者に販売する。そして単年についてモデル化と定式化を行い,この地域の効用最大化をはかるための利益最大化解析を行った。
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