研究課題/領域番号 |
13630162
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
岡田 依里 横浜国立大学, 大学院・国際社会科学研究科, 教授 (70203982)
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研究分担者 |
平井 直樹 野村證券金融研究所, 経営調査部, 主任研究員
白田 佳子 日本大学, 経済学部, 教授 (80289793)
岡東 務 阪南大学, 経営情報学部, 教授 (20330342)
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キーワード | 企業評価 / クレジット・リスク / 知的資産 / 知的財産 / 債券格付け / 投資情報 / 日・米格付機関 |
研究概要 |
本研究課題について、クレジット・リスクと知的資産、日・米格付機関の行動という観点から研究を行ってきた。その結果、次の諸点が明らかとなった。1)企業のもつ知的財産や人材、といった知的資産情報も、クレジット・リスクの評価に含まれる傾向がみられること、2)とくに、知的財産からもたらされる役務収益の安定性は、クレジット・アナリストには有用な投資情報であること、3)倒産企業に対して付された格付けを調査する結果、企業日・米格付機関の格付行動には、スピードの点で差がみられること(日本の倒産企業に対する倒産前一定期間の格付け変更をみると、アメリカの格付機関の方が投資情報としての格付変更、といった形での対応が早いこと)、4)、ただし、アメリカの格付機関の場合勝手格付けであったため、市場へのインパクトがあまりみられなかった、という点が指摘される。 本研究の派生的効果として、岡田が知的財産戦略大綱の一環である「知的財産報告書」の様式を、経済産業省「特許・技術のディスクロージャーを考える研究会」副委員長としてとりまとめ、産業構造審議会知的財産政策部会を経て、経済産業省のパイロット・モデルとして経済産業省として発表されたことがあげられる。このパイロット・モデルは、企業が戦略的に知的財産を活用し企業革新を行う取り組みが市場で適正に評価されることを意図したもので、公正開示規則の影響がみられる機関投資家とのコミュニケーションの土台たる機能を意識したものだが、知的財産からもたらされる役務収益(ロイヤルテイ収益)と支出、知的財産取得・維持に係る費用、といったクレジット・アナリストからの視点の開示も、項目として含まれている。今後、実際にモデルを適用いただく企業ならびに市場の反応をみて、知的財産情報開示指針策定の参考とされる見込みである。
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