アジア地域〔特にシンガポール、タイ、マレーシア〕における管理会計実務と日本進出企業のその影響を調査するため、3か国における現地企業と日本企業に対して同一のアンケートを作成し、比較研究を行うことにした。そのため、11月と12月に海外共同研究者と日本とシンガポールで会議を開き、協力を求め、同一のアンケート調査項目を作成し、同一時期に実施することにした。本年度前期では、研究代表者は、これまで内外で行われてきた管理会計に関するアンケートの実績を調査・分析し、アンケートのモデルを英文で作成することに集中した。後期には、イーメールや郵送、会議を通してアンケートの調査項目・方針・調査時期等について海外研究者と調整し、最終的には海外共同研究者は自ら同一のアンケートを作成してくれることとなった。現地企業については約700から1000社を対象とし、本年度内に郵送を完了する予定である。日本進出企業については3か国を合わせて、約1300社についてすでに郵送した。調査結果の分析についても、歩調を合わせて行う予定である。この結果、3カ国と日本との管理会計およびアジア地域の現地企業と日本企業の管理会計実務の比較が可能となった。 同時に、海外共同研究者や国際的な管理会計の研究者から、アジアの管理会計の実態と特徴について聞き取り調査を行った。さらにまた、アジアの管理会計に関連する研究を纏め、或いは既刊の論文を再検討し、英語論文にして、国際的な会計学雑誌に発表した。とくにマレーシアの会計学の雑誌からの投稿依頼を受け、研究の成果がアジアの地域に広がった。 この研究課題を通してアジア地域の管理会計研究者との研究上の連携が深まり、これまで計画してきた「アジア管理会計フォーラム」(Asian Accounting Forum)を組織し、国際的な研究組織を結成する可能性が強まった。
|