研究概要 |
研究初年度においては,利用可能な企業の財務情報データベースのなかから「日経NEEDS」と北米企業の財務データ「Research Insight」を選定し,データの内容,利用方法,利用上の利便性などについて比較検討を行った. 日経NEEDSが比較的簡素な検索機能しか用意していないのに対して,「Research Insight」では(1)研究支援(2)報告書作成支援(3)グラフ作成支援(4)会社案内などの,それぞれの利用者のニーズに基づいた「入り口」(ポータル)が用意されており,また利用者の関心に応答しながら自由に検索を実行しながら企業を選択していくことが可能である. 同時に実装にあたっての理論的な背景についての研究をおこなった.実装にあたって留意しなければならないのは,検索性である.この検索性は,次に,上述したインターフェースという問題と意味(セマンティックス)という2つの問題に分類される.本研究では,会計情報のデータベース化に当たってこれをXML(Extensible Markup Language)によって記述することでこの2つの問題を同時に解決した.XMLによるデータ表現のためには,勘定科目の精査が必要である.そこでデータベースのデータとして利用した,一般事業会社財務データ,連結財務データ,中間財務データ,金融(銀行,証券,損保)を分析し,これらを木構造へと展開,分類を行った. 研究次年度には,前年度の結果を受け継いで,勘定科目体系をXBRL(Extensible Business Reporting Language)によって表現し,これをデータベースへ格納した.同時に,検索のためのインターフェースも設計し,早稲田大学内でサービスの提供を行った.データベースシステムの性能は,2,000件前後の企業について10程度の勘定科目を表示する場合,1秒以下で検索が完了する.クライアントコンピュータに表示されるまでを含めても,10秒程度ですべての処理が完了するなど,非常に高性能である. このシステムを利用した実証分析を行い,その有用性や問題点について検証を行うなど,研究のために利用しやすいデータベースとして,発展させるための作業を行った.
|