研究概要 |
研究代表者松本圭司(北大理)は代数曲線のPrym多様体を用いて、いくつかの代数多様体の周期写像の構成やその単写像から得られる保型形式を構成した。 実際、Allcock,Carlson,Toledoによって構成された非特異3次曲面族に対する周期写像に対しては,1の3乗根ωが作用する種数10の代数曲線のPrym多様体を用いて記述し、周期写像の逆写像をPrym多様体に関するtheta constantsを用いて構成した。そしてそれらのtheta関数がみたす代数関係式を決定した。 また、複素射影直線の8点で分岐する4重被覆として得られる種数9の代数曲線族に対し、5次元複素超球への周期写像をこの代数曲線のPrym多様体を用いて構成した。このPrym多様体に関するtheta constantsを用いて5次元複素超球上の保型形式を構成した。そしてそれらのtheta constantsがみたす代数関係式を決定した。 研究分担者斎藤睦(北大理)はアフィントーリック多様体上の微分作用素環D(R_A)とA-超幾何系のシンメトリー代数が反同型であることを示し、非斉次のときも含めてA-超幾何系の同型類を組合せ的に分類した。また、次数環gr(D(R_A))が有限生成になるための条件を考察した。さらに、アフィントーリック多様体上の関数環R_AのD(R_A)-加群としての組成因子を与えた。 研究分担者島田伊知朗(北大理)は代数的ファイバー空間において、特異ファイバーの特異生が弱いときに底空間の2次のホモトピーから一般ファイバーの基本群への境界準同型が構成できることをしめした。そして一般化されたリザルタント超曲面の補集合の基本群が可換であることも示した。また、超特異K3曲面はつねに射影平面の2重被覆となることを示した。
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