研究概要 |
1.1変数尖点形式fの池田リフトのケッヒャー・マース級数の具体的な公式を以前に得ていたが、そこに現れるfに付随するあるデイリクレ級数の特殊値の代数性について結果を得た。これは、2002年9月ルミニーで行われたシンポジウムで発表した。 2.フーリエ係数をどのくらい与えるとジーゲル保型形式が定まるかという問題を3年ほど前に扱った(cf. H. Katsurada, Abhand. Math. 70(2000))がその精密化を行った。これに関してある予想を提出し、ケッヒャー・マース級数に関するある仮定のもとで予想が成立することを証明した。 3.Garrett-Boechererによるジーゲルアイゼンシュタイン級数の引き戻し公式,伊吹山による微分作用素、および研究代表者によるジーゲル級数の明示公式を用いて次の場合に保型形式のスタンダードゼータ関数の特殊値を次の場合に精密に求めた: (1)副合同部分群に関する1変数尖点形式のスタンダードゼータ関数を指標でひねったもの (2)種数2でレベルが1のジーゲル尖点形式のスタンダードゼータ関数。 (1)の場合は今までもいろいろなアルゴリズムが知られていたが、今回の方法はそれらのどの方法よりも有効と思われる。これに関しては、2001年9月の白馬における日独シンポジウム、同月都立大におけるシンポジウム,2003年2月の浜松におけるシンポジウム、および3月早稲田大におけるシンポジウムで発表した。また、(2)の結果は斉藤・黒川リフトのような特別な場合を除いてはおそらく初めてのことと思われる。 4.長岡昇勇氏(近畿大)と共同で種数2の$P$進アイゼンシュタイン級数が真の保型形式になることを示した。 5.R.Schulze-Pillot氏(Saarland Univ.)と共同でテータ級数へのヘッケ作用素の作用を研究した。
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