研究課題/領域番号 |
13640010
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
寺杣 友秀 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (50192654)
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研究分担者 |
小木曽 啓示 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (40224133)
島田 伊知朗 北海道大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (10235616)
斉藤 毅 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (70201506)
松本 圭司 北海道大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (30229546)
吉川 謙一 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (20242810)
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キーワード | 超幾何微分方程式 / p-進特殊関数 / 多重ゼータ関数 / 混合モチーフ / テータ関数 / 保型関数 / 周期写像 |
研究概要 |
本年度の研究計画で述べたものの幾つかにおいて以下のような結果を得た。 (1)Gauss和のが森田のp-進ガンマ関数のいくつかの積としてあらわされるというGross-Koblitzの結果はBoyarski原理といわれ、Gaussの超幾何関数やBessel関数に対応する場合さらにもう少し一般的に正則特異点の場合はDworkによって証明されていた。その構造をD加群的に定式化したのがLoeserの予想である。これはもっとひろく合流型超幾何関数を含むトーリ範疇で定式化されるが、本年度はこの予想を証明した。本質的にはoverconvergent位相による関数空間の完備化とAmice類がメリン変換で移りあうという事実に帰着される。メリン変換によって微分方程式が差分方程式に変換されるがその位相をp-進的の比較が本質的である。 (2)与えられた重さをもつ多重ゼータ関数で生成される有理数体上のベクトル空間は有限次元であるがその次元に関する予想としてZagierの予想といわれる予想がある。この次元は3以上の奇数を次数としてもつ生成元で生成される自由リー群と関連しておりその生成元は有理数体の代数的K群と関連している。都合のよい多様体を構成しすることにより、混合テイトモチーフの拡大に関する結果に帰着させ、この予想を解決した。この多様体は射影直線から3点を除いた多様体の基本群を近似する多様体として興味あるものである。 (3)射影直線の巡回被覆の周期写像の像が対称空間のZariski開集合となるためのひとつの十分条件がDeligne-Mostowによって求められ、さらにそれは有限個の可能性に分類されている。そのなかのある6重分岐が3次曲面で分岐する3次元の多様体の中間ヤコビ多様体と一致することを用いて逆周期写像を記述したが、さらに8点で分岐する4重被覆の逆周期写像を実際にテータ関数で記述した。8点分岐の場合は問題となるプリム多様体が周偏極なアーベル多様体とならいことからテータ関数をとってくるときに性格のよいものを選ばねばならず、その部分が苦労した。この場合の有限群すなわち2元体上の直交群およびその表現をうまく用いることによりおおきな手がかりを得て結果としてきれいな表示を得た。
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