素数と結び目、代数体と3次元多様体の類似について考察し、以下の結果を得た。これについて学術論文4篇と論説1篇を著した。また、国際シンポジウム(平成13年9月都立大)で招待講演を行った。 1)代数体の ideal 類の種の類似概念を多様体の1次元 homology 類に対して導入し、絡み目の巡回被覆に対し、代数体の種の理論の類似を得た。これについて論文1篇を発表した。また、その abel 被覆への一般化についても考察し、部分的結果を得た。 2)代数体の単項化問題、 Hilbert の定理94の類似を3次元多様体の被覆について定式化し、結果を得た。これについて論文1篇を著した(投稿予定)。 3)絡み目のMilnor不変量と Massey 積の関係を素数たちに対しても類似を与えた。これに関連して、分岐条件をもつ Galois 群の Galois cohomology における Massey 積の構造およびそれを用いた2次体の ideal 類群の 2-part への応用について結果を得た。これは、2次体の ideal 類群という古典的な対象への従来にはない位相幾何的なアプローチである。これについて現在論文を準備中である。 4)研究分担者の山岸氏と共に、代数体の分岐条件つき pro-p Galois群の構造および p- 進 Galois 表現の変形理論について学び、結び目群の表現との類似について考察した。また、幾何学的群論の視点から代数体の Galois 群の群論的構造について考察した。さらに結び目の Alexander 多項式の力学系の zeta 関数としての解釈について数論的視点から考察した。以上のことについて論説1篇、解説的論文1篇を書いた(投稿中)。
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