研究概要 |
F理論をHizebruch曲面を底空間とするような(切断のある)3次元楕円Calabi-Yau多様体Xにコンパクト化して得られる弦理論と、E_8×E_8混成弦理論を楕円K3曲面Zにその上の安定正則ベクトル束Vを指定しつつコンパクト化して得られる弦理論とは一つの理論の双対な記述であるということが以前より予想されている。この予想はXの複素構造の変形に相当する自由度が(Z,V)の変形でどう見えるかという定性的な側面では過去にある程度調べられている。一方Xの(複素化された)Kahler変形の自由度に対してはGromov-Witten不変量の生成関数であるところのGromov-WittenポテンシャルF_gが定量的に重要な量として存在する。本年度の研究は前年度からの継続であるが、このF_gに関する情報が双対性を認める(あるいはそれに触発されて)混成弦側からいかに得られるかを研究した。実際にはXの(複素化された)Kahlerモジュライ空間のある余次元1の境界成分でのF_gの振る舞いに関して具体的な表式を提案することができ、その妥当性を様々な角度から検証した。成果は細部を詰めつつ発表する準備をしている。
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