研究概要 |
昨年度に引きつづきCousin複体,とくにそのコホモロジー加群の有限生成性について研究しました. Cousin複体のコホモロジー加群は,正準加群の局所コホモロジー加群と密接な関係にあります.しかし正準加群の局所コホモロジー加群は一般化されたCohen-Macaulay加群の場合を除き,あまり研究されていませんでした.そこで私は正準加群の局所コホモロジー加群の研究をはじめました.一般化されCohen-Macaulay加群はスタンダード・パラメーター系というものを持っていて,これを利用して正準加群の局所コホモロジー加群を計算することができます.しかしスタンダード・パラメーター系は一般化されたCohen-Macaulay加群しかこれを持ちません.一方N. T. Cuongは1995年に,スタンダード・パラメーター系を一般化したPスタンダード・パラメーター系という概念を定義しました.かなり一般の加群がこれを持ちます.私はこのPスタンダード・パラメーター系を使って,一般の加群の正準加群の局所パラメーター系を計算しました.現在発表準備中です. またCousin複体の局所・大域原理についても研究しました.有限生成加群の局所コホモロジー加群は局所的に有限生成なら大域的にも有限生成であることが知られていて,この事実を局所・大域原理といいます.Cousin複体のコホモロジー加群についても類似の現象がないかと考えたのです.研究の結果Cousin複体のコホモロジー加群の台がZariski閉集合ならばCousin複体のコホモロジー加群についても局所・大域原理が成立することがわかりました.
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