研究概要 |
この研究は,次の二つの課題について,成果を挙げることを目標とします。(1)Rees代数と随伴次数環のGorenstein性を判定する簡便かつ実際的な方法を開発し,その判定法に基づく具体例を豊富に提供する。(2)随伴次数環のGorenstein性に関連して,Gorenstein局所環内の「優良イデアル」の理論を整備・充実させる。平成14年度は課題(2)に力を注ぎました。次元dのGorenstein局所環(A, m)内のm-準素イデアルIは,その随伴次数環G(I)がGorenstein環であってa-不変量に関する等式a(G(I))=1-dが成立つとき「優良である」と呼びます。昨年度に実行された,Gorenstein局所環内の「優良イデアル」に関する予備的な研究を基盤に,優良イデアルの理論を一層整備・充実させ,関連する問題の解明に力を注ぎました。成果は4編の論文に纏めてあります。平成14年6月にはLevico(イタリア)で,9月にはSinaia(ルーマニア)で,可換環論の研究集会が開催されました。出席して成果の発表(招待講演)を行い,同時に,海外に於けるこの分野の研究の進捗状況を探りました。研究の進展に連れて,局所環内の整閉イデアルに随伴する素イデアルの構造研究に予期せざる発展があり,随伴次数環のBuchsbaum性に関連して思い掛けない理論が展開可能となる見込みが生じたため,この方向の予備的な研究を平行させ,得られた成果を4編の論文に纏めておきました。
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