今年度は1の原始5乗根ζを有理数体Qに附加した体k=Q(ζ)のmod 2^nのray class field について研究し、mod 2およびmod 4のray class fieldの中にSiegel modular関数の特殊値として単数を構成した。我々は種数2の曲線C:y^2=x^5-1に関する第1種微分から周知行列を得て、それから得られる次数2のSiegel上半平面の点を今までの研究で構成したSiegel modular functionに代入した。をの結果、我々が得たSiegel modular functionのうち、レベルが32のものにおいてはいつでも2-integerになることがわかった。従って、kのmod 2^nのray class fieldのk上のガロア群Gは素イデアル(2)の分解群と一致しているのでGの元gについて、我々のSiegel modular functionの特殊値に1-gを作用させることにより単数が行られた。このをkのmod 2^nのray class fieldに拡張することが次の目標である。そのためには2変数のP-関数の2倍角の公式が重要な役割を演じるであろう。さらにdistribution relationについての手がかりも得られる可能性がある。 又、昨年3月13日から3月15日まで早稲田大学で闘かれた整数論の研究集会は、この研究にとって非常に有意義なものであった。
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