研究概要 |
虚2次体のアーベル拡大体の中の楕円単数がCM型楕円曲線のBirch-Swinnerton-Dyer予想の研究にとって重要であった。従って虚4次アーベル体のアーベル拡大のなかにSigel modular関数の特殊値で単数を構成する事が、その虚4次アーベル体にふづいしたアーベル多様体の研究にとって重要になってくる。以上の背景のもと本研究では次の成果を得た。 平成13年度 虚2次体上楕円曲線の等分点で生成されるZ_p-拡大についてGreenberg予想の類似例を発見した。(裏面4番目の論文) 平成14年度 S=e^<2πi/13>を有理数体Qに附加した体Q(ζ)のQ上に4次の部分体k=Q(5+5^3+5^9)のアーベル拡大の中にSigel modular関数の特殊値として単数を構成した。この単数とL-関数におけるKronecker limit formulaとの関係を調べた。即ち、村林、梅垣、Wamelenによって発見された種数2の代数曲線C : y^2=x^5-156x^4+10816x^3-421824x^2+8998912x-8042776のJacobian variety J(C)はCM型アーベル多様体となり、そのCM体は前述のkとなる。うまくSigel modular関数をみつけて、J(C)に対応するCM点を代入してkのmod 6のray class fieldの中にMinkowski unitを構成した。さらにkの2次拡大に対応しているHeckeのL-関数の1での値を上の単数をもちいて表すことに成功した。(裏面3番目の論文) 平成15年度 曲線y^2=x^5-1のJacobian varietyの2べき分点とQ(e^<2πi/5>)のmod4,mod8のray class fieldの単数との関係を調べた。各年度とも、3月に早稲田大学で整数論の研究集会を開き、毎年100人近い出席者を得た。
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