研究概要 |
(I)円分体 有理数体Qに1の原始p^r乗根を添加した円分体の類数について,それがpと異なる奇素数lで割り切れるか否かについて調べた.必要十分条件はYoshino (Abh. Math. Sem. Univ. Hamburg 69,1999)により与えられているが,実際の判定は計算機を用いなければならない.この必要十分条件を導く過程で円単数のフェルマー商が用いられている.このフェルマー商は私(Abh. Math. Sem. Univ. Hamburg 67,1997)が以前に調べたものと同一のものである.私はフェルマー商の性質を用いて類数がlで割り切れないための十分条件を調べた. (II)虚二次体 虚二次体の類数について,私はOnoが定義したinvariantを改良し,Moller-Sasaki型の不等式を証明したが,この結果のさらなる改良を調べた. (III)実二次体 奇素数pと自然数nが与えられたとき,pが分解し,pを割る素イデアルが属すイデアル類の位数がnであるような実二次体が存在するか否かについては,一般には(abc予想などの仮定がなければ)nが2のべきの場合のIchimuraの結果が知られているだけである.私は,nが奇素数のべきの場合について調べた.
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