研究分担者 |
藤原 耕二 東北大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (60229078)
小谷 元子 東北大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (50230024)
砂田 利一 東北大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20022741)
納谷 信 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (70222180)
中川 泰宏 東北大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (90250662)
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研究概要 |
本研究の目的は,負曲率空間に作用する離散群のある種の剛性を,負曲率空間の理想境界の幾何学および離散群のコホモロジーに注目して考察することであった.この目的に沿って以下のような成果が得られた. Γをn次元球面に作用するクライン群とする.Γが凸ココンパクトならばその不連続領域の商空間はコンパクトであるが,その逆は一般には正しくない.しかし,極限集合が小さければこの逆が成立することが予想されていた.井関裕靖(研究代表者)は,この予想に対して,極限集合のハウスドルフ次元がn/2未満である場合に肯定的な解答を与えた.その応用として,正スカラー曲率をもつ共形平坦多様体の構造について,幾つかの結果を得た.さらに,ある種の作用素代数に係数をもつクライン群のコホモロジーについて考察した. また,離散群の剛性と非正曲率空問の幾何の関連について,井関裕靖と納谷信は,単体複体からリーマン多様体への調和写像の概念,およびある種の積分公式を定式化し,p進リー群の格子に対し,マルグリスの超剛性の一般化を行った.さらに,この手法を,単体複体から非正曲率距離空間への調和写像に対しても拡張した.それにより,比較的特異性の弱い非正曲率空間へのp進リー群の格子の作用に対する固定点定理を得た.p進リー群の格子以外にも,この手法が適用可能な離散群の例は多く,我々が確立した手法は,離散群の作用の剛性現象に対する理解を深めるのに役立つと考えている.
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