研究概要 |
本研究の研究代表者(河上)は、以前、金沢大学の土谷氏と共同で、多様体内のコンパクト領域上のヘルダー連続係数拡散方程式の斜反射境界値問題の研究を行った。それに関連して、土谷氏と共同で、C^<γ,α>多様体並びに多様体対(ただしγを正整数とし、0<α【less than or equal】-1とする)のsmoothingについて考察し、その結果を項目11の論文で発表した。まず、J.R.Munkres(Elementary Differential Topology, Princeton Univ.Press)の方法に類似の方法で上記のsmoothingが可能であることを示した。ついで、M.W.Hirsh(Differential Topology, Springer-Verlag)の方法に類似の方法(C^<γ,α>写像の空間のホイットニー位相を用いる方法)では、smoothingは不完全にしかできないことを示し、その原因であるC^γ多様体とC^<γ,α>多様体の相違を指摘した。 研究分担者(小林)は、多様体(2次元以上)から平面への安定写像に関して次の事実を発表した(Second workshop on Singularities and related subjects in Changchun, Changchun, China, 8-11, July 2001)。写像の像と特異値集合の対の同型類を多様体の平面像と呼ぶ。○正方形の4つ折を摂動して平面への安定写像をつくる。この平面像をもつn-多様体はp-円盤とq-円盤の直積であり、写像は2-乗ノルム関数の積を安定摂動したものである。すなわち高次元の「4つ折」に他ならない。○ひとつの閉多様体に対して、同一の平面像を持つ写像が(A-同値の意味で)可算無限個存在するという例を構成した。この例では、写像は特異点のindexで区別することもできない。前者は「平面像が写像をよく規定する例」を与え、後者は「閉多様体に関しては、たとえindexを指定しても平面像が写像に関する繊細な情報を失っている」ことを示している。
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