研究概要 |
平成14年度はmonicな実有理関数空間の完備化の安定ホモトピー型を決定することに成功した.Rat_k(CP^n)でS^2からCP^nへの基点を保つdegree kの正則写像空間を表す.S^2の基点を∞,CP^nの基点を[1,...,1]と取ることによりRat_k(CP^n)は共通根を持たないmonicな複素k次多項式の(n+1)(p_0(z),...,p_n(z))と表示される.平成13年度の研究成果により,Rat_k(CP^n)の完備化X^l_k(CP^n)は高々l個の共通根を持つmonicな複素k次多項式のn+1組であることが解明され,更にX^l_k(CP^n)の安定ホモトピー型が決定された.平成14年度は同様の考察を実多項式に対して行うことに成功したのである.詳しくは以下の通りである. Rat_k(CP^n)のreal versionとはmonicな実k次多項式のn+1組(p_0(z),...,p_n(z))で共通根に関する条件を課したものであるが,この共通根の条件には次の2通りが考えられる.(i)p_0(z),...,P(z)には実共通根は無い.(但し複素共通根は有っても良いものとする.)(ii)p_0(z),...,p_n(z)には(複素)共通根は無い. 条件(i)を課した空間をrat_k(RP^n),(ii)を課した空間をRRat_k(CP^n)と表す.自然な包含写像rat_k(RP^n)→ΩS^n及びRRat_k(CP^n)→Map^T_k(CP^1,CP^n)【similar or equal】ΩS^n×Ω^2S^<2n+1>が存在する. さてRRat_k(CP^n)の完備化には2通りが考えられる.1つは高々l個の実共通根がある場合,もう1つは(複素)共通根が高々l個の場合,前者をY^l_k(RP^n),後者をRX^l_k(CP^n)で表す.平成14年度はY^l_k(RP^n)及びRX^l_k(CP^n)の安定ホモトピー型を全て決定した.Rat_k(CP^n)の場合と対比して,今の場合は最も興味あるRRat_k(CP^n)の安定ホモトピー型でさえ未解決であったことを考えるとこの成果の意味は非常に大きい.
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