研究課題/領域番号 |
13640087
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
枡田 幹也 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00143371)
|
研究分担者 |
橋本 義武 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20271182)
日比 孝之 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80181113)
高倉 樹 中央大学, 理工学部, 講師 (30268974)
古澤 昌秋 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50294525)
河内 明夫 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00112524)
|
キーワード | トーリック多様体 / 扇 / 凸体 / 組合せ論 / トポロジー / face ring / 同変コホモロジー / 楕円種数 |
研究概要 |
代数幾何におけるトーリック多様体論をトポロジーの観点から展開している。ここ数年来の服部晶夫氏との共同研究により、トーラス多様体の幾何学的性質が、多重扇という組合せ論の言葉で表現できることが判明した。特に、1年前にトーラス多様体の楕円種数が多重扇の言葉で綺麗に記述できることを見つけたが、本年度はトーラス軌道体に対しても同様の記述があることを見出した。トーラス軌道体の楕円種数は数理物理から定義されるものもあり、これらの数学的意味はあまり明確ではない。今後の課題である。 14年11月から1ヶ月余り、Taras Panov氏(モスクワ大学)を招聘して、トーラス多様体の同変コホモロジーおよびその軌道空問のコホモロジーに関して研究を行った。その結果、コホモロジー環が次数2の元で生成されているトーラス多様体の場合、同変コホモロジーはStanley-Reisner環であり、その軌道空間はコホモロジーの観点からは単純凸多面体と同様であることが判明した。トーラス多様体がハミルトニアン多様体であるとき、軌道空間はモーメント写像の像である単純凸多面体と同一視できることはよく知られているが、我々の結果は、この事実のコホモロジー版と言える。トーラス多様体のコホモロジー環が必ずしも次数2で生成されていないが、奇数次のコホモロジーが消えている場合の研究も行った。この場合、次数2で生成されている場合を言わばblow downしたものと思えることが判明した。特に面白いことに、その同変コホモロジーは、単体複体に対して定義されているStanley-Reisner環を拡張したものになっている。このような環は10年ほど前に既にStanleyによって定義されていたが、我々の研究はその環の幾何学的な解釈を与えたと言える。この研究の延長として、Gorenstein^* posetのh-vectorに関するStanleyの予想が証明できた。その証明は全く代数的であるが、アイデアはトポロジーにある。これらの研究は、組み合わせ論・可換環論とトポロジーとの密接な関連を示唆している。
|