研究課題/領域番号 |
13640088
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
吉岡 朗 東京理科大学, 理学部, 教授 (40200935)
|
研究分担者 |
前田 吉昭 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40101076)
原 民夫 東京理科大学, 工学部, 助教授 (10120205)
大森 英樹 東京理科大学, 理工学部, 教授 (20087018)
宮崎 直哉 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (50315826)
|
キーワード | deformation quantization / 非可換幾何学 / 量子力学 / シンプレクティック幾何学 |
研究概要 |
今年度、パラメータに関して収束するDeformation quantization(変形量子化)の研究を行い、次の結果を得た。 (1)複素2次元ユークリッド空間上の滑らかな空間に変形のパラメータを複素数とするMoyal積*を考察した。パラメータに関しMoyal積が収束する関数のクラスを設定した。すなわち、正則関数で増大度がe^<-a|z|^p>であるものの全体をF(p)とし、増大の指数pが2以下のとき関数空間F(p)は積*に関して閉じた非可換代数をなすことが得られた。 (2)複素2次形式の*指数関数を、微分方程式を解くことにより構成し,その積公式を詳しく調べることができた。この公式から、時間パラメータ(複素数)に関する特異点が明示でき、また、*指数関数を用いて、*積に関するラプラス変換を定義した。*積に関するラプラス変換を用いて*積の代数に属する、多くの具体的な元(関数)構成することができた。 (3)Moyal積のほかに、正規順序(normal ordering)により定まる非可換結合的な積を考察し、これに関する*指数関数を、微分方程式を解くことにより構成した。Moyal積に関する*指数関数と正規順序による積に関する*指数関数との関係を調べ、これらの変換公式が得られた。 (4)*指数関数の積公式を,量子力学に適用してみた。調和振動子の量子力学的演算子Hを考察し、作用素Hの時間発展e^<tH>を、*積の代数を用いて書き表した。ラプラス変換を適用して、グリーン関数を計算してその特異点よりHの固有値を計算した。*指数関数は、微分方程式を解くことにより与えられるが、これを経路積分法(積積分)により構成した。また、正規順序による積に関する作用素Hの時間発展e^<th>を、同じく積積分法により与えることができた。
|