研究概要 |
pとRをR^d(d【greater than or equal】1)上の確率密度関数とする。確率密度関数pとRを持つR^d値確率変数X、Yの内で、E[|X-Y|^2]を最小にするものは、ある凸関数φを用いて、Y=Dφ(X)と書けることが、質量輸送問題において知られている。 ところで、(Rによって)非等方化されたR^d上のグラフのガウス曲率流について、我々は、以下の成果を得た: ガウス曲率流の離散近似確率過程列の構成、ガウス曲率流を記述する偏微分方程式の弱解の存在と一意性、上記偏微分方程式の弱解は粘性解である事の証明。 特に、ガウス曲率流{u(t, x)_<t【greater than or equal】0>の時間発展は、u(0, x)が凸の時、上記の質量輸送問題において、p=∂u(t, x)/∂t、φ=u(t, x)としたものと考えることができる事を示した。則ち、Xを確率密度関数∂u(t, x)/∂tを持つR^d値確率変数とすると、D_xu(t, X)の確率密度関数は、Rとなる。 さらに、R^^〜をS^<n-1>(n【greater than or equal】2)上の確率密度関数とした時、(R^^〜によって)非等方化されたR^nの閉超曲面のガウス曲率流についても上記と同様の成果を得た。特に、R^nの閉超曲面のガウス曲率流の離散近似の構成は、n【greater than or equal】3の時は、有名な未解決問題であったが、我々は、確率論の範疇に話を持ち込むことにより、この問題の完全な解決を見た。 今後は、ガウス曲率流の離散確率近似の精度の数値計算による研究、及び、質量輸送問題とガウス曲率流を特別な場合として含む理論の構成を行うことが課題である。
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