研究分担者 |
赤間 陽二 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30272454)
竹田 雅好 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30179650)
森田 康夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20011653)
山崎 武 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (30336812)
|
研究概要 |
これまで集合論をベースに行われていた超準的方法による議論を,2階算術の弱い体系,とくにWKLoと呼ばれる公理系の周辺で再検討することが,本研究の主な目的である.WKLoは,コンパクト性の議論を付加した計算可能数学の緩やかな形式化と考えることができ,数学の多くの定理がそこで証明できることが知られている.我々は,超準的手法によりいろいろな定理をWKLo等で導く方法を考案し,その改良を続けている.本年度において,田中と山崎は,米国のS.Simpsonの協力の下で,ある形の定理の族に対して,WKLoにおける証明からケーニヒの補題の使用を取り除くための一般的な方法論を完成させた.例えば,代数学の基本定理はその形をしており,またこの定理のよく知られた証明はコンパクト性に依存した議論を用いているのだが,我々の方法によってコンパクト性を取り除き、計算可能な範囲の議論に収めることができる、の結果については,さらなる応用や改良について考察続けているが、次に述べる研究とも深く関わっている、田中は阪本伸幸との共同研究により、ヒルベルトの零点定理など実数や複素数の多項式に関する諸定理を弱い体系で導くための方法論を開発した.それには,量化記号消去定理に基づいて実数と複素数の構造に関する充足関係を定義し,その関係がタルスキの真理条項などを満たすことをチェックする必要があるが,その際代数学の基本定理の構成的なバージョンを用いるのである.また,エルゴード定理等の応用解析の超準的扱いや高階算術への拡張についても,分担者の協力を得て研究が進行中である.最後に,本研究に関連する研究を行っている他大学の研究者たちとセミナー等で連絡を取り合い,周辺の研究の動向を知ると共に,次年度以降の研究の準備を行った.
|