エネルギー準位統計の数学的基礎の研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13640100
• 研究機関: 筑波大学
• 研究代表者: 南 就将 筑波大学, 数学系, 助教授 (10183964)
• 研究分担者: 森田 純 筑波大学, 数学系, 教授 (20166416) ; 青嶋 誠 筑波大学, 数学系, 助教授 (90246679) ; 赤平 昌文 筑波大学, 数学系, 教授 (70017424) ; 籠谷 恵嗣 筑波大学, 数学系, 助手 (40323258) ; 田崎 博之 筑波大学, 数学系, 助教授 (30179684)
• キーワード: ランダムなシュレーディンガー作用素 / スペクトル統計

研究概要

1994年にH.P.McKeanはホワイトノイズ(ブラウン運動の見本関数の形式的な導関数)をポテンシャル項に持つ一次元のシュレーディンガー作用素を有限領域においてディリクレおよびノイマン境界条件の下に考察し、その第一固有値の確率分布を調べた。その結果自体興味深く、より深い研究に値するが、それ以前の基礎的な問題として、超関数であるホワイトノイズをポテンシャルとするシュレーディンガー作用素の定義についてはMcKeanは全く触れていない。一般に連続関数の形式的な導関数をポテンシャルとするシュレーディンガー作用素の定式化は1977年に福島と中尾が対称形式の方法により、また1986年に南がより初等的な方法で行なっているが、福島-中尾の方法はディリクレおよびノイマン境界条件を同等には扱えず、また南の方法にはMcKeanの理論を正当化するために必要となるSturmの振動定理を証明するのに不適当な点があった。これらの問題を解決するためにスペクトル理論の最近の研究を調べたところ、SavchukとShkalikov(1999)による簡明な方法が有用であることがわかった。特に彼等が導入したquasi-derivativeを用いると、ホワイトノイズに見られるようなポテンシャルの特異性を表面に出さずにシュレーディンガー作用素を扱うことができ、その結果一般的な境界条件の下での自己共役性、スペクトルの離散性、振動定理等を容易に示すことができ、それらを用いてMcKeanの理論を正当化することができた。(SavchukとShkalikovの証明には細部に不備な点があるので、それらを修正しつつ用いた。)なお、この研究は大学院生の永井克己氏との共同研究である。

研究成果

• [文献書誌] Akahira, M.: "Confidence intervals for the difference of means ; application to the Behcens-Fisher type problem"Statist. Papers. 43・2. 273-284 (2002)
• [文献書誌] Akahira.M., Mnkhopadhyay, N.: "Two-stage estimation of a linear function of normal means with second-order approximations"Segnontial Anal.. 21・3. 109-144 (2002)
• [文献書誌] Aoshima, M., Gorinda*ajul*, Z.: "Fixed-width confidence interval for a lognormal mean"Int. J. Math. Sci.. 29・3. 143-153 (2002)
• [文献書誌] Berman, S., Morita, J., Yoshii, Y.: "Some factorizations in universal envelopping algebras of three dimensional Lie algebras and generalizations"Canad. Math. Bull.. 45・4. 525-536 (2002)
• [文献書誌] 田崎 博之: "等質空間の部分多様体の積分幾何学"数学. 54・3. 280-291 (2002)
• [文献書誌] Kang, H.J., Tasaki, H.: "Integral geometry of real surfaces in the complex projective plane"Geom. Dedicata. 90. 99-106 (2002)