研究概要 |
本研究では、自由境界を持つ偏微分方程式を扱うことになる。今年度の計画によれば、円環領域でポテンシャルに関する方程式を解き、このポテンシャルのサブレベルセットとして得られる領域の境界(これが自由境界に相当する)の振舞を精度保証付きで算定するはずであった。しかしながら、全体の技法を構築する上での技術的な観点から、正方領域での同じ問題に対する研究を行なうことにした。 現在のところ、ポテンシャル面を得るための固有値問題を導き、その固有値・固有関数を精度保証付きで求める方法を開発中である。この方法では、円環領域などへの発展性を考慮して、スペクトル法を用いることにした。固有値問題とスペクトル法との相性の良さも考慮している。 また、正方領域以外の多角形領域を取り扱うために、非凸多角形領域における精度保証の技法を改良し、有限要素法の射影誤差を従来よりも簡便な方法でかつ精度をあげて評価することに成功した。これは、非凸多角形を凸形のなかに埋め込んで行なう方法であるが、誤差評価の問題を行列の一般固有値問題に帰着させて解析するものである。帰着させる仕方にいくつかのバリェションがあり、数値実験によって最も良い結果を与える方法を特定した。 上述のことに関連する以下の口頭発表を行なった。 1.山本野人・有限要素法の近似能力について、日本応用数理学会2001年度年会(2001年10月7日) 2.Yamamoto, N., "On the error estimation of FEM with guaranteed accuracy", Inter-national Conference on RECENT ADVANCES IN COMPUTATIONAL MATHE-MATICS, Ehime Univ., Matsuyama, Oct. 10-13, 2001
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