研究分担者 |
斎藤 三郎 群馬大学, 工学部, 教授 (10110397)
芦野 隆一 大阪教育大学, 教育部, 助教授 (80249490)
中村 玄 北海道大学, 理学研究部, 教授 (50118535)
天野 一男 群馬大学, 工学部, 助教授 (90137795)
池畠 優 群馬大学, 工学部, 助教授 (90202910)
|
研究概要 |
1.導電方程式に対して,局所化されたDirichlet to Neumann mapから,境界での導電係数および境界法線方向の導電係数の導関数を,(1)各点ごとに,(2)弱形式で,(3)フーリェ変換像で,再構成する公式を与えた。これは,導電体の表面のある部分において,電気変位と電流を測定することで,その表面近くでの導電率を決定する境界値逆問題に対する数学解析での1つの解答である.とくに,表面のごくわずかの領域で導電係数が不連続面を持つ場合,導電係数自身よりも,密度関数と導電係数との合成積を再構成する方が,実際の実験でも有効であり,この観点からは,今後(2)の弱形式での再構成公式を数値実験で実現化することが意味あると確信される. 2.組織異方性をもった弾性体に対し,非等方弾性体方程式を扱うStrohの定式化を基礎にして,境界面での変位と表面力との線形関係をあらわすSurface impedance tensorの表示式を与えた.この公式は,組織異方性がない場合は,等方弾性体のSurface impedance tensorとなるが,組織異方性の線形オーダーまでの項を含むものである.この研究成果は,平成14年12月にシンガポールで開催された構造力学国際研究集会にて発表した.一方,残留応力と組織異方性をもった弾性体を伝わるRayleigh波の速度の観測により,弾性体内の残留応力を再構成することが,実験では有効であるとの知見を得た.そこで,Rayleigh波を記述する弾性波動方程式(係数に残留応力と組織異方性がパラメターとして含まれる)にStrohの定式化を応用し,Surface impedance tensorを導いたときと類似な方法で,Rayleigh波の速度の残留応力と組織異方性に因る分散公式を求めるべきとの認識に至り,その導出を当面の研究計画としている.
|