研究概要 |
1.3次元双曲空間のランダム分割に関して、ポアソン・ボロノイ多面体の頂点数、辺の総長、および表面積等の幾何学的量の平均値を明示的に与える公式を発見した。これらの公式は、ユークリッド空間の場合の対応する公式と、空間の曲率とポアソン分布の点密度だけに依存する関数の積になっている。そめ結果、これらの幾何学的量に対するデータにもとづいて、空間の曲率を推定する可能性が拓かれた。(業績[1],[2]) 2.3次元ユークリッド空間において、正4角柱ロッドを直交座標軸のどれかと平行になるようにランダムパッキングする問題を、6次元のマルコフ連鎖の問題に帰着する方法を発見した。これを利用してシミュレーションを行なった結果、ロッドが統計的に等方的に配置されること、およびロッドのパッキング密度が3/4になることが見出された。(業績[3]) 3.1次元ユークリッド空間において、長さをある自己相似な確率分布Pにしたがって発生した開区間を、ランダムパッキングする。このとき、パックされた区間の長さの確率分布Qは、Pとは異なる自己相似分布になることを証明した。またPが一様分布である特別な場合に、どの区間によっても覆われない点の集合のハウスドルフ次元を精密に決定した。(業績[4]) 4.有名な13球問題に関して、球の配置に関して従来知られていなかった精密な情報を得ることに成功した。球帽の言葉で述べることにして、12個の球帽の中心が定めるデローネ分割のグラフについて考察し、正20面体グラフと菱形12面体グラフの2通りだけが可能であること証明した。さらに、それら2つのグラフの間で連続的変形が可能であることを示した。(業績[5])
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