研究概要 |
球面上のランダム幾何に関する今年度の研究結果 (d+1)次元ユークリッド空間内のd次元単位球面をSとする。任意の単純グラフGに対して、Gの頂点をS上にランダム独立に配置する。Gにおいて辺で結ばれているような頂点対に対応するS上の2点間の球面距離の最小値のd乗をDとする。Gの辺数をNとするとき、次のような結果を得た: N→∞のとき、NDの分布は、平均dB(1/2,d/2)の指数分布に収束する。 ここで、B(p, q)はベータ関数である。この結果は、球面上のランダム独立なn点の間の最小球面距離の漸近分布(n→∞)を求める問題をまったく一般的に解決したものである。例えば、Gとして頂点数nの完全グラフをとれば、ランダム独立なn点間の最小球面距離の漸近分布が得られる。面白いことに、NDの漸近分布はグラフGの構造には依存しない。G=K(1,N)としても、G=K(m, N/m)としても、Nが十分大きければ、NDの分布は殆ど変わらないのである。 また、この結果を証明する過程で、直積集合の部分集合に含まれる元の個数に関して、次のような興味深い上界を得た:Ωをn個の集合の直積集合W1×W2×…×Wnの有限部分集合とする。添字集合{l,2,...,n}の部分集合Aに対して、Wi達(iはA内に制限)の直積集合へのΩの射影像をΩ(A)で表すことにする。すると{A1,A2,...,Ak}が添字集合{1,2,...,n}の二重被覆となるなら、|Ω|の2乗は積|Ω(Al)|・|Ω(A2)|・...・|Ω(Ak)|以下となる。ここで||は元の個数を表す。
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