研究概要 |
Y_iは応答変数,x_iは確率変数ではない説明変数,ε_iは誤差確率変数で独立で同一の連続型分布関数F((x)/(σ))を持つとするモデルY_i=h(x_i,θ)+ε_i,i=1,…,n,θ∈Θに含まれる交互作用のある二元配置モデルにおいて尺度について不変なスチューデント化された頑健統計量に基づいて位置パラメータの点推定法を提案した。セルサイズが大きい場合の提案された頑健推定量の漸近正規性を漸近的線形性や分布収束の理論を使って導き,統計量の漸近的性質が調べられた。ヒューバーのM推定量の漸近理論ではFisher's consistency∫^∞_<-∞>ψ(x)dF(x)=0が必要であるが,私の理論ではその条件が必要でなく密度関数が対称である必要はない。密度関数が対称である場合には,最小二乗法による推定量に対する提案した手法の漸近相対効率は一標本の標本平均に対するヒューバーのM推定量の漸近相対効率に一致している。さらに,密度関数が対称でない場合,提案した手法はヒューバーのM推定量よりも効率がよくなる。数式を基に正規分布のずれによる漸近検出力と漸近平均自乗誤差を多くの分布に対して調べ,観測値が正規分布以外の分布に従っている場合に,最小二乗推定量よりも提案した統計手法が非常に良く,正規分布のときは提案した手法がすこしだけ劣ることが解り,提案した手法の分布に対する頑健性が導けた。特に,正規分布から大きく離れた分布の場合は提案した推定量の有効性は顕著であった。小標本の場合に,分布と異常値に関する頑健性が成り立つかを計算機シミュレーションによって調べ,漸近的結果と同様の結論を得た。ウェーブレット関数やスプライン関数を用いて非線形回帰モデルの回帰係数の推定方法についても思考中であるがまだ頑健推定法の理論まで到達していない。しかしながら上記の線形モデルの理論を基に,非線形モデルの頑健理論の構築は可能であると考えている。
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