研究概要 |
1標本と2標本モデルにおいて尺度について不変なスチューデント化された頑健統計量に基づいて位置パラメータの区間推定法を提案した。標本サイズが大きい場合の提案された頑健統計量の漸近正規性を漸近的線形性や分布収束の理論を使って導き,統計量の漸近的性質が調べられた。ヒューバーのM推定量の漸近理論ではFisher's consistency ∫^∞_<-∞>ψ(x)dF(x)=0が必要であるが,私の2標本の理論ではその条件が必要でなく密度関数が対称である必要はない。密度関数が対称である場合には,正規理論による最良区間推定法に対する提案した手法の漸近相対効率は一標本の標本平均に対するヒューバーのM推定量の漸近相対効率に一致している。数式を基に,観測値が正規分布以外の分布に従っている場合に,正規理論による最良区間推定法よりも提案した統計手法が非常に良く,正規分布のときは提案した手法がすこしだけ劣ることが解り,提案した手法の分布に対する頑健性が導けた。特に,正規分布から大きく離れた分布の場合は提案した区間推定法の有効性は顕著であった。 著書『統計科学』に,パラメトリック法,ノンパラメトリック法と研究対象のセミパラメトリック法も紹介した.更に,データの分布の探索や正規性の適合度を調べ,これを基に,3種の手法の選択方式を論述した.解析の信頼性を高めるこれらの手法と選択方式により,これまでよりも高度なデータ統計解析が可能となった.研究対象の頑健統計解析法のすべてについて,Microsoft Windows上で動作可能な実行可能形式のプログラムを用意した.これらの頑健統計解析法を含む実行可能形式のプログラムを集めたものを,Esoftと呼び,白石高章のホームページhttp://crystal.sci.yokohama-cu.ac.jp/book.htmlからEsoftをダウンロードできるようにした.著書『統計科学』にEsoftの実行方法を述べた.
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