研究概要 |
本研究の目的である、非双曲型周期軌道を有し生成可算分割を保持する非可逆離散写像に対し観測可能性を意味するであろう弱Gibbs測度の存在性又,Pressureに関する一般化された変分原理を構築し相転移現象を明らかにするという問題に関して、平成13年度10月21日〜11月1日の期間オランダへ出張し、M.Keane氏(アムステルダム大,CWI教授),E.Verbitskiy氏(アイデンホーベン工科大)らのレビューを受ける事により、弱Gibbs測度の存在性から、相移転現象を捕らえる方向性を見い出す事が出来た。又弱Gibbs測度の定式化が統計力学における弱Gibbs状態と非常に近いということを確認する事が出来た。更に、平成14年2月12日〜2月20日、2月25日〜3月2日の期間、札幌大学へ招へいしたM.Denker氏(ゲッチンゲン大教授)から、弱Gibbs測度の典型的な例と考えられるconformal測度の存在性と、Pressure関数の連続性に関してレビューを受ける事により、マルコフ生成分割が存在しなくとも、よりゆるい条件下で存在性を示す新しい方向性をさぐる事が出来た。弱Gibbs測度に絶対連続な不変測度に関する時間相関関数の現象を上から評価する問題をほぼ完全に解く事が出来た。
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