研究概要 |
本研究の目的である「生成可算分割を保持し、非双曲型軌道を有する非可逆離散号像に対し、観測可能性を意味すると考えられる弱ギブス測度の存在性・及びギブス性が崩れる原因を相転移現象が引き起こされる原因の関連性を明らかにする」という目的において、生成可算分割がマルコフ分割であるという条件のもとで、弱ギブス測度の典型例と考えられるconformal measureの存在、又弱ギブス平衡状態の存在から相転移現象を捕らえる方向性を見い出す事ができ、その結果を論文"Thermodynamic formalism for countable to one Markov systems"に発表し、Trams. AMSに受理されている(平成14年11月)、又、「弱ギブス条件を満たす平衡状態のinvertible extensionがある種の弱いlocal product structureを保持する事を示し、その構造がいかに弱ギブス測度の統計的性質に影響を与えるか明らかにする」という目的に対しては、平成14年度(9/1〜9/21)米国出張し、Y.Resin氏(Pennsylvania State大学)のレビューを受ける事により、"Weak local product structure"という新しいタイプの構造が期待すべきものである事を確認し、ストレンジアトラクターの物理的次元が確定するという'Eckmann-Ruelle予想'に対する部分的解答が得られ、又Multifractal formalismをあるポテンシャル関数のクラスにおいて成立させる事に成功し、それぞれ結果を論文"Weak Gibbs measures and the local product structure"(Ergodic theory and Dynamical Systems),"Multifractal Analysis of Weak Gibbs measures for Intermittent Systems" (Commun. Math. Physics)に発表する事ができた。
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