研究概要 |
本研究の目的である「生成加算分割を保持し、非双曲型軌道を有する非可逆離散写像に対し、観測可能性を意味すると考えられる弱ギブス測度の存在性,及びギブス性が崩れる原因と相転移現象が引き起こされる原因の関連性を明らかにする」という目的において、生成加算分割がマルコフ分割であるという条件のもとで、弱ギブス測度の典型例と考えられるconformal measureの存在、又逆ギブス平衡状態の存在から相転移現象を捕える方向性を見い出す事ができ、その結果を論文、"thermodynamic formalism for countable to one Markou systems"に発表し、Trans, AMSに受理されている。又「逆ギブス条件を満たす平衡状態のinvertible extensionがある種の弱いlocal product structureを保持する事を示しその構造がいかに弱ギブス測度の統計的性質に影響を与えるかを明らかにする」という目的に対しては、"Weak local product structure"という新しいタイプの構造が期待すべき物である事を確認し、ストレンジアトラクターの物理的次元が確定するという'Eckmenn-Ruelleと予想'に対する部分的解等が得られ、又Multifractal formalismをあるポテンシャルのクラスにおいて成立させる事ができた。更に弱ギブス測度に絶対連続な平衡状態に関する時間相関関数の減少のオーダーの上からの評価を、Perron-Frobenius operatorのイタレーションの一様収束のスピードを評価する事により、得る事ができ、非双曲型軌道(indifferent periodic orbit)存在のもとでは多項式オーダーである事を確認した。
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