研究分担者 |
前田 吉昭 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40101076)
神保 雅一 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (50103049)
榎本 彦衛 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00011669)
中本 敦浩 大阪教育大学, 教育学部, 助手 (20314445)
根上 生也 横浜国立大学, 教育人間科学部, 助教授 (40164652)
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研究概要 |
まず,平面グラフの組合せ的性質として,cyclic chromatic numberに関する研究を行なった.これは,map coloringにおいて,頂点だけを共有する面も違う色に塗らなければいけない場合に相当し,最大次数が十分に大きければ,その最大次数プラス1色で塗り分けられることを示した.一般の閉曲面でのcoloringについては,局所的には二部グラフとなっているようなグラフは,representativityが十分大きければ高々4色で塗り分けられることが知られているが,向き付け不可能な閉曲面においては,representativityがいくらでも大きく,3色では塗り分けられない四角形分割が存在することを示した.また,とくにトーラス,クラインの壼の四角形分割については,染色数が3,4になるための組合せ的特徴づけを与えることに成功した. 閉曲面を最も自然に離散化して得られる構造である三角形分割については,すでに多くの研究がなされている.とくに,頂点数が等しい2つの三角形分割は,それらの頂点数が曲面の種数に比べて十分大きければ,対角変形と呼ばれる局所的な変形で移り合うことがわかっていた.その際に必要となる対角変形の回数については,頂点数の線形関数で抑えられるであろう,と予想されていたが,この事実は,多重グラフとなる三角形分割(擬三角形分割と呼ぶ)までをこめて考えることにより解決に至った.特徴的な三角形分割として,すべての辺がある特定の次数dの頂点を少なくとも一方の端点に持つようなもの(d-covered)を考え,5-covered,6-coveredであるような三角形分割の構成的な特徴づけを与えた. その他,空間グラフのラムゼー性に関する既存の研究成果の見直し,グラフの分割問題,位相幾何学的性質がグラフのハミルトン性とどの程度関連するか,などについて調査を行なった.
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