研究概要 |
空間変数に関する最高階の導関数に関して定数係数線形であるような,4階の2元連立発展方程式のなかで,SokolovとShabatの意味で形式的に完全可積分なもの,すなわち,strong symmetryとstrong conservation lawを許容するものを,数式処理システムREDUCEを用いて数え上げるのが本研究の目的である. このような問題を全く一般的に考察するのは,現在の理論的なレベルからも,また計算機の能力からも不可能であるので,時間発展が従属変数及びその空間変数に関する導関数の多項式で記述されるものに限って考えることにした.このようなクラスの発展方程式で今まで知られているものは,少数の例外的を除けば,時間発展を記述する微分多項式は,空間変数に関する微分に適当な重み(weight)を与えると,そのような重みに関する同次多項式となっている.従って,まず様々な微分重みに対する同次多項式で時間発展が記述される発展方程式を数え上げることとした. 本年度は,上記で述べた数え上げの計算をするために必要なプログラムをREDUCE上で開発し,それを用いて,ある特別な重み(1-weight)に関して同次な時間発展を持つ4階の連立発展方程式であって,低階のformal symmetryとformal conservation lawを許容するものをほぼ数え上げることができた、Strong symmetryとstrong conservation lawはそれぞれ無限階のformal symmetryとformal conservation lawであるから,数え上げを完成するには,今まで得られた方程式に対して,高階のformal symmetryとformal conservation lawを許容する条件を調べて行く必要がある.また1-weight以外の重みに関する同次微分多項式で時間発展が記述される方程式の数え上げも次年度の課題である.
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