研究課題/領域番号 |
13640150
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
曽我 日出夫 茨城大学, 教育学部, 教授 (40125795)
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研究分担者 |
野崎 英明 茨城大学, 教育学部, 助教授 (60208337)
田中 靖夫 茨城大学, 教育学部, 教授 (30007520)
海津 聡 茨城大学, 教育学部, 教授 (80017409)
中村 玄 北海道大学, 理学研究科, 教授 (50118535)
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キーワード | 波動方程式 / 弾性方程式 / 散乱理論 / 波の反射 / 偏微分方程式 / 双曲型方程式 / エネルギー減衰 / 逆問題 |
研究概要 |
本研究野の当初の目的は、広くひろがっている媒質内に部分的に異種な物質があるとし、その中を伝わる波の波乱現象に対して次のようなことを行うことであった。 a.この波乱現象を取り扱う数学的枠組み(波乱理論)を集約整理し、それぞれのタイプごとの特徴や相互の関係を考究するとともに、本研究に関わりの深い未整備な部分については新しく散乱理論を構築する。 b.整備された枠組みのもとで具体的な諸問題を研究する。特に、工学的にも興味深い散乱を対象として、散乱波から媒質内の具体的な情報を引き出す逆問題を研究する。 これらについて、いかに述べるように、概ね当初の期待通りの成果を得ることができた。 aに関して:波動方程式の散乱の一般理論は、大きく二つのタイプ(Lax-Phillips型とWilcox型)に分類できる。本研究の大きな成果の一つは、両タイプの特徴を整理集約し、それらの相互関係を明らかにしたことである。また、半空間において弾性波の具体的な問題を考える上で基礎となる散乱理論をつくることができた。さらに、半空間における弾性体の全反射波に関する予想を数学的に証明することにも成功した。これはUCLAのRalston教授との共同研究で得られたものである。これらをまとめた論文は、間もなく国際レベルの学術誌に印刷されることになっており、国際会議でも発表した。 bに関して:上記の半空間の散乱理論に基づいて、弾性波の一種で古くから注目されているRayleigh波のエネルギー減衰について非常に精密な分析を行った。この結果は、従来にない具体的な解の表示を開発することによって得られた。また、弾性体の媒質中に空洞があるとして、それによる反射波を極めて具体的に表示することに成功した。この表示は、空洞内に液体が詰まっているかどうかを判定するのに使えるものである。これについては、力学関係の国際会議で発表した。
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