研究概要 |
非有界領域の楕円型偏微分方程式の境界値問題であるディリクレ問題およびノイマン問題の解の積分表示の考察が目的であった。コーン、シリンダーに関しては、既に結果を得ている。別の非有界領域ストリップR^n×D(DはR^mの有界領域)上についても、特殊解の積分表示は既に得ているが一般解の具体的構成とある種の意性の問題はまだ未解決である。しかし解である調和関数の挙動の研究成果はたくさん得ることができた。 すなわち、minimally thin setsはDoob等によってくわしく研究されたポテンシャル論的除外集合、rarefied setsはAhlfors, Hayman等によって関数の増大度に関する関数論的視点から研究されてきた除外集合の研究である。なめらかな領域での関数の境界近くでの振舞いの研究から出発して、Lipschitz領域やさらに一般な複雑な境界をもつ領域での関数の境界近くでの振舞いが研究されていくのが通例である。なめらかな領域の境界点である半空間での無限遠点近くでの上記二種類の除外集合に関して、そのウィナー型の判定条件とその除外集合外での正値優調和関数の振舞いについてのEssen等の研究がある。これに関してこの結果を、角をもつ領域の角にあたる、コーンの無限遠点近くでの結果に拡張し、別の意味の領域の角にあたる、無限に延びるシリンダーの無限遠点近くでの同種の結果に拡張した。また、除外集合のある種の表現に関して、コーン、シリンダーの場合の結果を得ることができた。これらの結果は、カナダの雑誌(Canadian Mathematical Bulletin)に掲載された。またアメリカの雑誌(Proc.Amer.Math.Soc., Complex variables)やチェコの雑誌(Czecho.Math.J.)に掲載されることが決まっている。
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