研究概要 |
R^Nにおける2階常微分方程式系 (1)μ(t)+G'(μ(t))=f(t), t∈R に対して、subharmonicな周期解の存在についての結果を得た。ここで、Nは自然数を表し、f∈C(R, R^N)は(1/T)∫^T_0f(t)dt=0を満たすT-周期関数、G∈C^2(R^N, R)は凸性を仮定しない関数である。また、(1)のsubharmonicな周期解とは、(1)の周期解であるがその周期はTではなくkT(ただしkは2以上の自然数)となるものである。Gが凸の場合は、subharmonicな周期解の存在について多くの結果がある。Fonda-Lazer [PAMS,115]およびHirano[JMAA,196]は、Gが凸でない場合に、(1)のsubharmonicな解の存在を示した。彼らの議論をより詳しく見直すことにより、今まで示されていなかった条件下で、十分大きな自然数kに対しT-周期ではない(1)のkT-周期解の存在を示した。さらに、Morseの不等式を用いることにより、fのノルムが十分小さい場合に、十分大きな素数kに対しT-周期ではない(1)のkT-の周期解が少なくとも2つ存在することを示した。(1)に対するsubharmonicな周期解の多重存在についての結果はこれまでなく、新しい結果である。この結果を導く際のポイントについて述べる。|G"(x)|→0(|x|→∞)を仮定し、(1)のT-周期解の数は奇数であることを、Morseの不等式により示した。さらに、R^NにおいてGは極大な臨界点は持たないことを仮定し、十分大きな素数kに対するkT周期関数の空間においてT-周期解に対するMorseの指数を調べると、k→∞のときそれらも無限大に発散することを示した。先のsubharmonicな周期解の存在についての結果から、十分大きな素数kに対し、T-周期ではないkT-周期解が少なくとも1つは存在することはわかっているが1つだけであるとすると、kT-周期関数の空間におけるT-周期解(もちろんkT-周期解である)に対するMorseの指数が十分大きいことから、kT-周期関数の空間におけるMorseの不等式に矛盾が起こることを示した。
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