研究概要 |
次の特異楕円型方程式の正値解の多重存在についての結果を得た。 (1)-Δu=λu^<-q>+u^p in Ω,u=0 on ∂Ω. ただし、ΩはR^Nの有界集合で、λ>0,q>0,p>1とする。∂ΩがC^3のとき、Coclite and Palmieri[CPDE,14]は、0<λ<λ^^〜ならば(1)は少なくとも1つの正値解を持ち、λ>λ^^〜ならば(1)は正値解をもたないということを満たすλ^^〜>0が存在することを示した。一方、(2)-Δu=λu^q+u^p in Ω,u=0 on ∂Ω に対して、∂Ωがスムーズで0<q<1<P【less than or equal】2^*-1のとき、Ambrosetti, Brezis and Cerami [JFA,122]は、λ^*=sup{λ>0:(2)は正値解を持つ}は正数であり、各λ∈(0,λ^*)に対して(2)は少なくとも2つの正値解が存在することを示した。それぞれの問題に付随する汎関数を眺めると、λ>0が小さいとき、問題(1)に2つの正値解が存在すると予想するのは自然なことである。ここでは、この予想が正しいこと、すなわち、λ>0が小さいとき、(1)は少なくとも2つの正値弱解を持つことを示した。さらに、得られた正値弱解がある条件の下で古典解であることを示した。正値弱解の存在については、Sun, Wu and Long [JDE,176]が既に結果を得ているが、我々の結果の方が、2つの正値弱解が存在を保証するλ>0の範囲が広く、∂Ωの正則性の仮定を必要とせず、P=2^*-1の場合を扱っているなどの優越性がある。また、我々はq=1の場合についても結果がある。さらに、彼らは得られた正値弱解が古典解かどうかという議論を全くしていない。我々は、この問題に対して変分法を用いたアプローチを行なったが、付随する汎関数がフレッシェ微分可能でないことや、解の正値性を示すために強最大値原理を使えないなどの難点があったが、これらの難点を克服して弱解の存在を導いた。
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