研究概要 |
次の特異楕円型方程式の正値解の多重存在についての結果を得た。 (1){-Δu=λu^<-q>+u^p in Ω,u=0 on ∂Ω. ただし、ΩはR^Nの有界集合で、λ>0,q>0,p>1とする。昨年度も、この方程式に対して、正値解の多重性の結果を得ていたが、q【less than or equal】1の制限が付いていた。今年度の結果は、q【less than or equal】1の制限を取り払い、q>0の条件だけで、正値解の多重性についての結果を得たことになる。q【less than or equal】1の制限はなくても、正値解の存在については、∂ΩがC^3のとき、Coclite and Palmieri[CPDE,14]は、0<λ<λ^^〜ならば(1)は少なくとも1つの正値解を持ち、λ>λ^^〜ならば(1)は正値解をもたないということを満たすλ^^〜>0が存在することを示している。したがって、正値解の存在についての多重性が、我々の結果の本質的な部分である。結果としては、1<p【less than or equal】(N+2)/(N-2)のとき、ある正数Λが存在し、0<λ<ΛならばC^∞(Ω)∩L^∞(Ω)に属する少なくとも2つの正値解が存在し、λ=Λのとき少なくとも1つの正値解が存在し、λ>Λのときは正値解が存在しないことを示した。また、p>(N+2)/(N-2)の場合にも、変分法によるアプローチで、正値解が少なくとも1つ存在することは示した。さらに、境界の各点がWiener条件を満たすならば、得られた正値解は古典解であることも示した。証明のキーポイントは、nonsmooth analysisの枠組でBrezis-Nirenberg型の定理を証明し、それを使ったところにある。
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