研究課題/領域番号 |
13640165
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
市原 完治 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (00112293)
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研究分担者 |
千代延 大造 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助手 (50197638)
服部 哲弥 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (10180902)
長田 博文 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (20177207)
三宅 正武 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (70019496)
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キーワード | マルコフ連鎖 / 固定端過程 / 調和変換 / 大偏差原理 / 主固有値 / 被覆空間 / 離散群 / 対称空間 |
研究概要 |
多次元正方格子上の離散時間パラメーターの周期的、可逆なマルコフ連鎖の固定端過程に対して、経験分布(滞在時間分布)関する大偏差原理を証明した。そのため、附随する差分作用素に関する固有値問題を考察、最小固有値に対応する正値の(一般化された)固有関数を適当にとり、その関数で元のマルコフ連鎖を調和変換し、そのとき現われるマルコフ連鎖に附随するI-関数を導入し、そのI-関数が上記の大偏差原理においてrate関数として重要な役割を果たすことを示した。この議論においては、多次元格子Z^nの被覆空間としての性質が本質的な役割を果たしている。以上の結果は、その体積が多項式オーダーの増大度をもつ離散群(一般に非可換群)の場合にも成立することが分かる。また連続時間のパラメーターのマルコフ連鎖の場合には、さらにDirichlet形式の理論を援用することにより、同様の大偏差原理を与えることができた。これらのマルコフ連鎖において、どのような場合に、附随する差分作用素の最小固有値が正になるかを知ることは重要である。これについては、マルチンゲールに対する大数の法則などを利用することにより、正になるための十分条件を与えることができる。 他方、双曲型空間の場合は、現在の段階では、上記のユークリッド的空間(R^n,Z^n,多項式オーダーの増大度をもつ離散群)の場合よりやや弱い形の大偏差原理を証明することができる。まだ、被覆性をいかす形には到達していない。今後の課題である。なお、この弱い形の大偏差原理は、対称空間などかなり広いクラスの空間上のブラウン運動について成立している。
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