研究概要 |
本研究の目的は偏微分方程式の解の接続と一意性の問題に対して,ポテンシャル論的手法からの解析を行うことである.旅費を使っての研究連絡および分担者との勉強会(購入文献の購読など)を通して以下の研究成果を得た. 1.熱方程式の解の持つ平均値の性質が熱球や帯領域を特徴付けることに関する結果を前年までに得ていたが,これらをより一般のした形で円柱領域や環状領域の特徴付けを行った.この結果は11月28日から30日に京都産業大学で行われたポテンシャル論シンポジウムで講演発表した. 2.領域で定義された調和関数が勾配とともに容量正の集合上で零になれば,その領域全体に調和接続でき,結果的には恒等的に零になる事実を証明した.この結果を8月26日から31日にルーマニアのブラショフで行われた複素解析の国際研究集会(The 9th Roumanian-Funnish Seminar)で発表した.なお,会議出席のために外国旅費を使用した. 3.ディリクレ境界値問題の境界値に多項式を与えたときに,いつ解がまた多項式として得られるか?,あるいは,いつ解は外部にまで拡張できるか?についての研究を始めた.特に,1次元の熱方程式について,境界が多項式の零点で与えられているとき,その境界を定める多項式の次数に応じて,多項式の解の存在と一意性および非存在についてのいくつかの結果を得た.
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