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2002 年度 実績報告書

可積分系とWKB解析

研究課題

研究課題/領域番号 13640167
研究機関京都大学

研究代表者

竹井 義次  京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (00212019)

研究分担者 小池 達也  京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80324599)
キーワード完全WKB解析 / Stokes曲線 / new Stokes curve / 高階Painleve方程式
研究概要

本年度は主として、高階Painleve方程式の完全WKB解析、特にその幾何学的な側面である変わり点やStokes曲線の構造("Stokes幾何")に関する研究を行った。まず、「野海・山田方程式系(IV型及びV型の高階Painleve方程式)のStokes幾何が、それに付随したLax pairのStokes幾何と密接に関連する」(11項「研究発表」記載の第5論文)という昨年度の後半に見出された知見がどの程度一般的な状況で成立するかの検証に取り組み、多変数の退化Garnier系の制限として得られるI型の高階Painleve方程式や、KdVヒエラルキーの簡約を通して現われるII型の高階Painleve方程式等に対しても、同様な事実が成り立つことを確かめた。次に、こうした高階非線型方程式のStokes幾何の大域的な構造を解析するために、II型の4階Painleve方程式のStokes幾何を計算機を用いて具体的に調べた。その中から大学院生の西川享宏君が、II型の4階Painleve方程式に対しても"Stokes曲線の交叉"が起こり、しかもそうしたStokes曲線の交点から(変わり点を起点としない)新しいタイプのStokes曲線が延びて行くという興味深い現象を発見した(西川享宏:"P_<II>-P_<IV> hierarchyのWKB解析"、京都大学修士論文)。この新しいタイプのStokes曲線は、高階線型方程式に対する"new Stokes curve"(11項の第3、第4論文参照)の非線型版と考えられる。(なお、平成15年3月に数理解析研究所でワークショップを開催しこれらの研究成果を報告した。)これらの結果は、可積分系から得られる高階の非線型常微分方程式に対しても豊かな構造が存在することを強く示唆する。以上の研究成果を受けて来年度は、非線型方程式に対するこの新しいタイプのStokes曲線をより詳しく解析すると共に、今年果たせなかった変わり点の近傍における変換論といったより解析的な側面(解の構造論)の研究に取り組んでみたい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] T.Aoki, T.Kawai, Y.Takei: "Exact WKB analysis of non-adiabatic transition probabilities for three levels"Journal of Physics A : Mathematical and General. 35. 2401-2430 (2002)

  • [文献書誌] Y.Takei: "On an exact WKB approach to Ablowitz-Segur's connection problem for the second Painleve equation"ANZIAM Journal, Australian Mathematical Society. 44. 111-119 (2002)

  • [文献書誌] T.Aoki, T.Koike, Y.Takei: "Vanishing of Stokes curves""Microlocal Analysis and Complex Fourier Analysis", World Scientific. 1-22 (2002)

  • [文献書誌] T.Koike, Y.Takei: "The effect of new Stokes curves in the exact steepest descent method""Microlocal Analysis and Complex Fourier Analysis", World Scientific. 186-199 (2002)

  • [文献書誌] 青木貴史, 河合隆裕, 小池達也, 竹井義次: "野海・山田方程式系のWKB解析に向けて"数理解析研究所講究録. 1296. 43-47 (2002)

  • [文献書誌] T.Aoki, T.Kawai, T.Koike, Y.Takei: "On the exact WKB analysis of operators admitting infinitely many phases"Advances in Mathematics. (掲載予定). (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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