研究課題/領域番号 |
13640167
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
竹井 義次 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (00212019)
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研究分担者 |
小池 達也 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80324599)
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キーワード | 完全WKB解析 / 高階Painleve方程式 / new Stokes curve / Stokes曲線 / 仮想的変わり点 / 変わり点 / Lax pair / WKB型擬微分方程式 |
研究概要 |
本年度は、河合隆裕(京大数理研)氏や大学院生の西川亨宏君の協力を仰ぎながら、昨年度西川君により発見された高階Painleve方程式に対する"new Stokes curve"のより詳細な解析を行った。構造が最も簡明なI型の高階方程式を主に用いて解析した結果、(1)こうしたnew Stokes curveが、高階Painleve方程式の零パラメータ解(即ち、自由パラメータを含まない代数的に定まる形式解)における線型化方程式の(高階線型方程式の意味での)new Stokes curveにもなっていること、(2)高階線型方程式の場合のように、高階Painleve方程式のnew Stokes curveも"仮想的変わり点"を始点とするStokes曲線と理解できること、又(3)通常の変わり点と同様に仮想的変わり点も、高階Painleve方程式に付随するLax pairのStokes幾何により特徴づけられること、等の新たな知見が得られた。さらに、高階Painleve方程式に対する完全WKB解析の解析的な側面に関しては、I型及びII型の高階方程式について、その第1種の単純変わり点における零パラメータ解の変換論を示すことに成功した(現在論文を準備中)。 一方、new Stokes curveや仮想的変わり点に対する理解を深める為に、高階線型方程式をより一般にしたWKB型の線型擬微分方程式に対する完全WKB解析についても考察し、特にプラズマ波の解析を目的として1960年代後半にBerk-Bookにより論じられたあるWKB型擬微分方程式について、実領域では単純変わり点のように見える点が実は単純変わり点の集積点となっていることを突き止めた。高階Painleve方程式に対する上記の結果と共に、以上の研究成果を平成16年3月に京都大学数理解析研究所で開催された国際研究集会「Microlocal Analysis and Asymptotic Analysis」において報告した。
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